ドラマを見始めて、
「待ってこの作品最高すぎない…?」
と感じる瞬間が続くと、怖くなってきませんか?
なんというか、幸せすぎて。
そしてその幸せが、最終話を見たあとまで続くのかわからないのも怖くて。
このまま最後まで見るべきか?と迷うほど…
そしてそんな気持ちを味わえる作品はとても貴重です
そんな最高な気持ちを味わえる最高のドラマにまた出会ってしまいました
「ユニークライフ」
アメリカで制作されたNetflixオリジナルドラマです
原題は"ATYPICAL"
Atypicalの意味は「非定型の」となっており、
主人公のサムが自閉症スペクトラム障害であることを端的に表しているタイトルですよね
日本語タイトルをカタカナで「ユニークライフ」としたのは「エイティピカル」という単語が聞き慣れないものだったからでしょう
単語の意味がさっぱり分からないと、タイトルから内容を想像するのも難しいですもんね。そう考えると日本語タイトルにもそこはかとない愛を感じます
本当に最高のドラマなので、いろんな人に見てほしいという思いからネタバレなしのレビューです
ドラマ「ユニークライフ」の概要と自閉症スペクトラム障害について
「ユニークライフ」は2019年11月、シーズン3まで配信されています
1シーズンに10エピソードありますが、
1話あたり30分ほどなので短時間ですね。かなりサクサクみれます
主人公はサム。18歳で、自閉症スペクトラムです
自閉症スペクトラムというのは、
- 社会性
- 社会的コミュニケーション
- 社会的イマジネーション
この3つにおいて偏りが見られる障害で、
サムにも「感覚過敏、ものや時間へのこだわり」などがあります
自閉症というと映画「レインマン」(1988・アメリカ)を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか
「レインマン」でダスティン・ホフマンが熱演した青年はかなり重度の自閉症でしたが、「ユニークライフ」のサムはそこまで重度ではないです
かといって生きづらいことに変わりはないんですけども
自閉症スペクトラムの青年が主人公で、それに起因する生活や家族の困難などが描かれますが、「ユニークライフ」はコメディタッチで笑えて泣けるドラマになっています
脚本の細やかさがバタフライエフェクト
「ユニークライフ」は1話につき30分ほど
ドラマにしては時間が短いタイプですが、見ごたえがすごい
誰かのちょっとした言動が、あとからジャブのようにストーリーに関わってきて
「うわーー!!あのときの!!!」と唸ってしまうんですよね
その重なりが半端なく積み上げられていくさまがお見事。
もし過去の言葉や行動がちょっとでも違っていたら、ストーリーもまた違ったものになっていくのだろうなぁと想像するのも楽しいです
魅力的で人間味あふれる人物たち
サムはもちろん、サムの家族や友人もみんな魅力的なんです
サムの友人 ザヒード
ザヒードは、サムがアルバイトをしている「テクトロポリス」で一緒に勤めています
女の子が大好きで、いつも冗談ばかり言っていて、サムの良き友人であり師でもあるザヒード
ザヒード、本当に良いやつなんですよ
例えば接客中、サムが割り込んできてガールフレンドの話をしはじめたらザヒードはどうするか。
客に「続きはあっちの店員に聞いてくれ」と告げて、サムを最優先してくれるほど良いやつ。職場のボスにとっては困った存在かもしれないけど、サムにとっては本当に愛すべき友人。
ザヒードは最初から何の説明もなく当たり前のように登場しますが、シーズン2では少し彼の境遇も語られていて、それがまた愛おしい!!
サムの妹 ケイシー
サムのことを深く理解していて、いつも助けてくれる妹、ケイシー
美人で、陸上が得意で、サムとじゃれあっている姿にはキュンとしてしまいます
ケイシーは自閉症スペクトラムの兄を助けるために、いろんな苦労をしてきました
障がいのある兄妹をもつ女の子。いわゆるきょうだい児です
両親はいつも兄が優先。自分ももちろん兄を助ける。だけどそれがいつまで続くのだろう? 自分が頑張っているところをちゃんと両親にも認めてほしい。だけど、自分自身も兄が大切なことには変わりない…といった苦しさが、見ていて切ないほどに描かれています。ケイシーが本当に良い子(そして美人!)なだけに、ケイシーにも幸せになってほしいなぁと心から思います
ケイシーの恋人 エヴァン
エヴァンはケイシーのボーイフレンドで、家族以外ではおそらく一番ケイシーの境遇を理解している人物ですかね
この男、エピソードが進むごとにどんどんかっこいいところばかり見せつけてくるんですよ! 最初はただのチョイ役かと思いきや、家族の前で本当の気持ちをなかなか表せないケイシーを誰よりも応援しているし、情緒不安定なケイシーに振り回されてもめげない、くさらない、ついでに家の修理も大得意。
ちょっとストーリーのなかで都合よく使われすぎていないかと思うくらいにできたボーイフレンドです
エヴァンの家庭環境もまた複雑そうですが、ケイシーはチューバ事件といい、家族問題といい、明るく笑い飛ばすんですよね。ケイシーからしたら、自分の家庭ではありえないことが起きるのが純粋におかしくて仕方がないという感じ。二人の相性はある意味ズレていて、お互いにそこにひかれてるのかなと思います
サムの両親
サムの母親エルサは心配するあまり過干渉気味で、父親のダグはこれまで「息子が自閉症スペクトラム」という現実と向き合ってきませんでした
エルサの気持ちも、ダグの気持ちも丁寧に描かれていて
夫婦仲がこじれても「どっちが悪い」とは簡単に言い切れないのがリアルです
お互いに与えあってきた影響のせいで現在があり、過去を責めても現実が救われるわけではない。かといって、受け入れるには時間がかかることも。
なんだかんだ不満もあるけど、やっぱり家族って素晴らしいな、と思うエピソードもたくさんありました
他にも、サムのカウンセラーであるジュリアや、ガールフレンドのペイジなど、愛すべきキャラクターがたくさん出てきます
笑って泣ける、そして考えさせられる
サムをとりまく人々の優しさ、
周囲とかみあわなかったときの可笑しさや悲しさ、
家族関係や恋のこと、人生のこと
「ユニークライフ」を見ているといろんな感情が揺さぶられます
見ていて思うのは、アメリカは自閉症スペクトラムの研究が進んでいて
それに関する知識がある人も多いけれど、すべての人が理解を示しているわけではないということです
サムにわざと意地悪をしてくるような学生もいますし、
未成年ですから保護者同士のいざこざもあります
見ていて思うのは、
みんなちがって、みんな大変
ということですかね
本当に素晴らしい作品なので多くの方に届いてほしいドラマです