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ゲーム・オブ・スローンズ 最終章 第5話「鐘」ネタバレ感想~孤独が人を狂わせる

つらいです。エピソード5つらすぎ。

以下、

ゲーム・オブ・スローンズ シーズン8 エピソード5までのネタバレを含む感想です。

鐘

 

カリーシの孤独 

サーセイにミッサンディを殺され、部屋に閉じこもるようになってしまったデナーリス。あの後王都から一旦退いて、ドラゴンストーンに帰ってきたんですね。

ジョン・スノウとサー・ダヴォスも船で、北部軍より一足先にドラゴンストーンに到着。浜辺でジョンに「王にふさわしいのはあなただ」と語るヴァリス。ですが、ジョンは「俺は王になるつもりはない。デナーリスこそ我が女王だ」の一点張り。あれですかね。RPGで話を聞き終わったNPCが同じことしか言わなくなるやつ。ジョン・スノウさんも最近口を開けばこれしか言わなくなっちゃいました。

ジョン・スノウの血筋が今やヴァリスにまで知れ渡ったことに対し、デナーリスは激しい怒りを表します。サンサとアリアにだけは言わないで、と懇願したのに。ジョンは裏切った。サンサはその情報の重要さを十分に理解したうえで、あえてティリオンに流した。デナーリスにとって周りはもはや敵だらけのようなものです。

情報屋として危険度が高いヴァリスを処刑するデナーリス。前にサムの家族を処刑したときも思いましたけど、ドラカリスの精度半端ないですよね。あんなにピンポイントで火を吹けるんだなって。

「そこまでやるか…」と若干引き気味のジョンにデナーリスが言います。

「ウェスタロスには私への愛はない。皆が私に抱いているものは、恐怖だけ」と。北部の人たちがジョンに向ける親愛かつ敬愛。あれこそデナーリスがかつてナローシーの向こうので人々に向けられていたものでした。慈悲の心を持ち、民に愛される女王だったのに。だからナイトキング戦の祝勝会であんなに淋しい表情を見せていたんですね。

ジョンは「俺は愛してる。きみは我が女王だ」といつもの台詞を言いますが、出生の秘密を知る前までのような関係を結ぶことは、もうできません。叔母と甥ですしね…。北部では叔母と甥同士は結婚できないというしきたりもあります。

ジョンの態度を見て「あなたも恐怖を選ぶのね」とデナーリス。

デナーリスに恐怖ではなく愛をくれていた人たち、ジョラー・モーモントやミッサンディはもう亡くなってしまいました。せめてどちらかだけでも生きていてくれれば、あんなことにはならなかったのかなぁ…。

ティリオンの賭け

サーセイの元に戻ろうとした兄ジェイミーが捕まったと、デナーリスから聞いたティリオン。捕虜となったジェイミーに話をつけにいきます。

ティリオンは「最高の運び屋」でもあるサー・ダヴォスに頼んで王都はずれの浜辺に小舟を用意。地下から隠し通路でその小舟まで行って、サーセイを連れて二人で逃げろ、デナーリスが攻め入る前に降伏の鐘を鳴らせ、と兄に頼みます。

ティリオンが裏切ったとなればデナーリスはまた烈火のごとく怒るでしょうが、王都が無血開城できたとなれば処刑はまぬがれるかもしれない。それに、王都に住む罪のない100万人の命と、自分の命がひきかえになるのならば公平な取引だ、とおどけてみせます。

ティリオンにとってジェイミーは「恩人」。ジェイミーだけがティリオンをモンスター扱いしなかった。そのおかげで幼少期を生きられた、と。いつも軽口を叩いて本音で語らないティリオンだけに、このシーンには涙してしまいました。もう、いっそのことティリオンが王になってほしい。ヴァリス亡き今、民のことを考えられるのはティリオンしかない。ジョンはあんな調子で「玉座はいらない」の一点張りだし。ティリオンは血筋も確かですし、それでよくない?

そして鐘は鳴らされた

王都では人々を赤の城へ受け入れていました。どさくさに紛れてアリアとハウンドも入場。アリアはサーセイを殺すため、ハウンドは兄のマウンテンを殺すため。さらにジェイミーも王都へ紛れ込みますが、門が閉まるまで入れなかったので例の浜辺から地下を通り、サーセイのところへ向かおうとします。

ブラックウォーター湾では、まちかまえていた海軍をデナーリスがドラゴンで撃破。こないだユーロンに撃たれたのはなんだったのというくらいの無双状態です。たった一頭のドラゴンで船を焼き尽くし、ユーロンは海へ飛び込んで退却。

さらに城壁に設置されたスコーピオンも炎で焼き尽くし、すべて破壊してしまいました。ドラゴンの圧倒的な力と、目前のアンサリード、ドスラキの軍隊を前にして「鐘を鳴らせ!」と声が上がります。もはや勝ち目はないと王都の人々は悟ったのですね。「鐘を鳴らせ」の声はサーセイの耳にも届き、やがて鳴らされる降伏の鐘。

無血開城、成功ですね。罪のない人々の血が流れることはなかった。

…と思いきや。

デナーリスの様子がおかしい。怒りの表情は鎮まるどころか、よりくすぶって…。

でもそんなの関係ねぇ!(ドラカリス)

デナーリスは狂ってしまいました。彼女にとって玉座は奪い返すもの。父や兄を殺した王都。私の子(ドラゴン)を殺した王都。兄は玉座欲しさに私を馬みたいに現地民に売り払った。私から何もかもを奪った王都。あんなに慈悲深かったデナーリスの心は、今や憎しみに支配されてしまったんですね…。

鐘は鳴らされたけど、そんなの関係ねぇ。なんの意味もない。もはや小島よしおのネタ状態。王都のすべてを焼き尽くし、破壊しつくす勢い。

そしてドラゴンが開戦したことで、デナーリスの軍も殺戮を始めてしまいました。無抵抗の市民を一方的に蹂躙。炎はあがるわ、がれきは絶えず落ちてくるわ、地獄絵図です。

例の浜辺についたジェイミーはユーロンと対峙。こちらも激しくやりあい、ジェイミーが辛勝しました。てっきりジェイミーは致命傷を負わされたと思ったんですが、意外と歩けてましたね。致命傷にはちがいないと思いますけども…。

アリアが見た光景

崩れゆく城の中で、ハウンドが「お前は帰れ」とアリアを止めます。「俺みたいになりたいか?」と。俺と一緒に行けば、お前も死ぬ。この感じではサーセイもどのみち死ぬ、と。アリアは初めて「サンダー」とハウンドの本名を呼び、「ありがとう」と別れを告げます。因縁の二人。ハウンドがいなかったらアリアもここまで生き抜いてこれなかったはずです。そしてハウンドはマウンテンと対決し、最後は体当たりで二人もろとも火の海に飛び込んで…。あれ、マウンテン生き延びてたりしませんかね。さすがに無理かな。ハウンドが最後までハウンドらしくてかっこよかったです。

王都でアリアが見た光景は地獄そのもの。逃げ惑う人々を容赦なく襲う瓦礫、炎。頭上から舞い散る無数の塵。ドラゴンは生かしておいたらいけない。そして、それをあやつる人間も。これは、アリアのリストにデナーリスが書き込まれたのではないでしょうか…。こんなひどい光景が天災ではなく人災だということが、信じがたい光景ですよね。戦争はつらい。って、もはや戦争にもなっていませんが。ただ一方的にデナーリスが暴虐の限りを尽くしている……つらいなぁ。ナローシーの向こう、裸一貫で次々と人々を味方にしていくデナーリスが好きだっただけに、あまりに悲しい選択です。というかジョン! ジョンがもうちょっとさぁ、上手に嘘とかついてさぁ、ダニーへの愛を表現していればこんなことにならなかったのでは???  まぁそれができないのがジョンなんですけどね…。

涙するサーセイ

クァイバーンもマウンテンもハウンドにやられた今、サーセイはたったひとりきり。おなかの子をどうにかして守るため、生き延びるために必死です。ジェイミーもサーセイのもとにたどり着きます。致命傷を負いながらよくここまで来れたものだ、ジェイミー。愛のちからってやつでしょうか。

地下で「死にたくない」と涙するサーセイ。ジェイミーはむしろ、二人で一緒に死ねるなら本望なのではないでしょうか。そのために来たようなものですし。ジェイミーが血を流していることに気づくサーセイ。これはジェイミーが一人でなくなるパターンですかね。サーセイはべつにどこも怪我してませんしね。

正直私も、サーセイ憎しでここまで来ましたが、デナーリスもあんな調子だし。どちらかが女王というのは、ないなぁという気持ちですね…。敵の一番大事な人を容赦なく傷つけて楽しむサーセイと、戦いのためなら罪のない百万人の命を焼き尽くすデナーリスと、どっちもどっちです…。

今回のお話はさすがにショックでした。なんかもう、ウィンターフェルに帰りたい…という気持ち。